目次
フランス語の試験の種類
国際的に通用するフランス語の試験は、DELF/DALFとTCFの二つある。
『DELF – Diplôme d’Études en Langue Française』
DELF (デルフ/Diplôme d’Études en Langue Française) とは、フランス国民教育省が認定したフランス語学力資格試験。テストはヨーロッパ言語共通参照枠 (CECRL) が定めた6段階のうちのA1からB2のレベル別に実施される。受験者は自身が目指すレベルの試験を受験し、結果は合否で判定される。一度取得した資格 (ディプロム) は無期限有効である。
試験は聴解、読解、文書作成、口頭表現の四分野で構成される。
『DALF – Diplôme Approfondi de Langue Française』
DALF (ダルフ/Diplôme Approfondi de Langue Française) とは、フランス国民教育省が認定したフランス語上級学力資格試験。DELFがA1からB2レベルを対象としているのに対し、DALFはさらに上級となるC1からC2レベルの高度なフランス語能力が要求される。DELFと同様に結果は合否で判定され、資格は一度取得すれば生涯有効となる。最高レベルのC2を取得するのはフランス語ネイティブでも困難と言われる。
『TCF – Test de Connaissance du Français』
TCF (Test de Connaissance du Français) とは、フランス国民教育省が認定した総合的なフランス語能力を測るテスト。テストは初級者から上級者向けの全ての問題が含まれ、点数に応じて受験者のレベルがA1からC2の6段階で判定される。DELF/DALFのように事前に自身のフランス語レベルを知る必要はないが、受験結果の有効期間は二年である。
基本の必須試験は聴解、語彙・文法、読解の三分野で構成され、すべて選択方式の問題となる。受験者は任意で口頭表現、文書作成の補足試験を追加することができる。
フランス語試験DELF A1の試験概要
試験の種類 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|
聴解 Compréhension de l’oral | 4題 | 20分 |
読解 Compréhension des écrits | 4題 | 30分 |
文書作成 Production écrite | 2題 | 30分 |
口頭表現 Production orale | 3部 | 準備10分 試験5‐7分 |
■DELF A1の試験内容■
<聴解>
日常生活に関する音声を聞き、設問に答える。
<読解>
日常生活に関するテキストを読み、設問に答える。
<文書作成>
- カードや申請書に記入する。
- 日常生活上の事柄に関して簡単な文を書く。
<口頭表現>
- 面接官の質問に答える。
- 情報を交換する。
- 状況を設定して会話を展開する。
[参考]DELF A1 / Tout public, junior, scolaire (フランス語)
フランス語試験DELF A2の試験概要
試験の種類 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|
聴解 Compréhension de l’oral | 4題 | 25分 |
読解 Compréhension des écrits | 4題 | 30分 |
文書作成 Production écrite | 2題 | 45分 |
口頭表現 Production orale | 3部 | 準備10分 試験6‐8分 |
■DELF A2の試験内容■
<聴解>
日常生活に関する音声を聞き、設問に答える。
<読解>
日常生活に関するテキストを読み、設問に答える。
<文書作成>
- 個人的な出来事や経験を記述する。
- 招待状、お礼状、依頼、案内などの手紙を書く。
<口頭表現>
- 面接官の質問に答える。
- 情報を交換する。
- 状況を設定して会話を展開する。
[参考]DELF A2 / Tout public, junior, scolaire (フランス語)
フランス語試験DELF B1の試験概要
試験の種類 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|
聴解 Compréhension de l’oral | 3題 | 25分 |
読解 Compréhension des écrits | 2題 | 35分 |
文書作成 Production écrite | 1題 | 45分 |
口頭表現 Production orale | 3部 | 準備10分 試験15分 |
■DELF B1の試験内容■
<聴解>
一般的なテーマに関する音声を聞き、設問に答える。
<読解>
一般的なテーマに関するテキストを読み、設問に答える。
<文書作成>
一般的なテーマ (エッセイ、手紙、新聞記事等) に関して個人的見解を表現する。
<口頭表現>
- 面接官の質問に答える。
- 面接官と会話をする。
- 与えられたテキストに対する見解を表現する。
[参考]DELF B1 / Tout public, junior, scolaire (フランス語)
フランス語試験DELF B2の試験概要
試験の種類 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|
聴解 Compréhension de l’oral | 2題 | 30分 |
読解 Compréhension des écrits | 2題 | 60分 |
文書作成 Production écrite | 1題 | 60分 |
口頭表現 Production orale | 2部 | 準備30分 試験20分 |
■DELF B2の試験内容■
<聴解>
インタビュー、ニュース番組、講演、ラジオ放送等の音声を聞き、設問に答える。
<読解>
ある主題について論説しているテキストを読み、設問に答える。
<文書作成>
討論、公式文書、論評等を参照して自分の見解を論証する。
<口頭表現>
与えられたテキストに関する見解を提示・論証する。
[参考]DELF B2 / Tout public, junior, scolaire (フランス語)
フランス語試験DALF C1の試験概要
試験の種類 | 試験時間 |
---|---|
聴解 Compréhension de l’oral | 約40分 |
読解 Compréhension des écrits | 50分 |
文書作成 Production écrite | 150分 |
口頭表現 Production orale | 準備60分 面接30分 |
■DALF C1の試験内容■
<聴解>
インタビュー、講演、ニュースダイジェスト等の音声を聞き、設問に答える。
<読解>
文学やジャーナリズムといった思想文を読み、設問に答える。
<文書作成>
複数のテキストについての総論を作成、テキストの内容について論述する。
<口頭表現>
複数のテキストについての発表と、面接官との討論を行う。
[参考]Présentation des épreuves du DALF (フランス語)
フランス語試験DALF C2の試験概要
試験の種類 | 試験時間 |
---|---|
聴解・口頭表現 Compréhension et production orales | 準備60分 試験30分 |
読解・文書作成 Compréhension et production écrites | 210分 |
■DALF C2の試験内容■
<聴解・口頭表現>
- 音声資料の内容を要約する。
- 資料が取り上げている問題について、自分の見解を展開する。
- 面接官との討論を行う。
<読解・文書作成>
一連の資料から、記事、社説、報告書、演説等の構成の整った文書を作成する。
[参考]Présentation des épreuves du DALF (フランス語)
フランス語試験TCFの試験概要
■必須試験■
試験の種類 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|
聴解 Compréhension de l’oral | 29題 | 25分 |
語彙・文法 Maîtrise des structures de la langue | 18題 | 15分 |
読解 Compréhension des écrits | 29題 | 45分 |
■補足試験■
試験の種類 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|
文書作成 Production écrite | 3題 | 60分 |
口頭表現 Production orale | 3部 | 12分 |
■TCFの試験内容■
必須試験 <聴解・語彙・文法・読解>
必須試験である聴解、語彙・文法、読解は全問選択式問題となる。各分野とも、A1からC2レベルの問題で構成され、問題が進むにつれて難易度があがる。
オプション <文書作成>
与えられた三つの主題に関して文書を作成する。問題が進むにつれて難易度があがる。
オプション <口頭表現>
- 自己紹介。
- 設定された場面において面接官とのロールプレイ。
- 与えられた主題に関する見解を述べる。
[参考]Présentation détaillée du TCF (フランス語)
DELF/DALFとTCFのどちらを受けるべきか
DELF/DALF は受験者が事前にある程度の自身のフランス語レベルを把握したうえで、目指すレベルの試験を受験する必要があるのに対し、TCF は全レベルの受験者が同一の試験を受験する。
そのため、自身の現在のレベル確認といった点では、TCF を受験するのが適切だろう。
ただし、留学や大学入学等の明確な目標がある場合は、各学校で試験が指定されている場合がある。
また、TCF はフランス語学力を判定するテストという性質から、結果は二年間のみ有効である。対して、DELF/DALF は一生涯の資格となるため、学生時分に取得して数年経っていたとしても、その後の就職等でも有効となる。
自身の現在のフランス語能力はどのくらいなのか、また、フランス語を学習する目的は何なのか、といった点を踏まえて受験する試験を選ぶのがよいだろう。