フランス語の[b]と[v]の発音

フランス語の子音[b]と[v]の発音

un bain chaudとun vin chaud、聞き取れますか

フランス語のun bain chaud(熱いお風呂)とun vin chaud(ホットワイン)。

[v]の音は日本語ではあまり馴染みがないため、意識しないで聞くと同じ単語だと思ってしまいがちだが、bainvinでは、それぞれ[b]と[v]で単語の頭の発音が異なる。

 

クリスマスの時期になるとフランス各地のいたるところで開催されるMarchés de Noël(クリスマスマーケット)で、必ずと言っていいほど目にするのが、後者の「un vin chaud(ホットワイン)」だが、間違っても「un bain chaud(熱いお風呂)」とトンチンカンな注文をするのは避けたい。

 

un bain chaud(熱いお風呂)
/œ̃ bɛ̃ ʃo/

 

un vin chaud(ホットワイン)
/œ̃ vɛ̃ ʃo/

 

 

また、前後の文脈から意味を間違えることは少ないかもしれないが、Il bat(彼は打つ)とIl va(彼は行く)も、発音の違いは[b]と[v]の音のみで、一聞しただけでは違いが分かりづらい例だろう。

Il bat(彼は打つ)
/il ba/

 

Il va(彼は行く)
/il va/

 

 

フランス語の[b]の発音の仕方

唇をしっかり閉じて軽く呼気を破裂させた音。

フランス語の[b]は日本語の[b]と似た音である。

子音”b“や”v“の入った単語を発音する際、意識しないと[b]の音が発音されがちであるが、裏を返せば、[b]の発音は日本人にとっては難しくないと言えるだろう。

 

フランス語の[v]の発音の仕方

v

上の歯先下唇の少し内側に軽くあてて息をもらした音。

本来日本語にはない音であるが、外来語で[v]を含む単語には、「」のカタカナがあてがわれていることがある。この「ヴ」の音といえばイメージがつきやすいかと思う。

 

余談ではあるが、国名「ベトナム」は以前は日本語でも現地の名称(Việt Nam)により近い「ヴィエトナム」と表記されていたのをご存じだろうか。同様に、現在「」が使用されている国名も、「」を使用しない国名に改名されるという。国民の間で広く定着した呼び方を正式な表記として変更しているとはいえ、元来違う音である[b]と[v]を一緒くたに[b]の音に統一した表記にするというのはいささか無理があるのではなかろうか。(関連記事 : 世界から「ヴ」が消える – NHK政治マガジン

 

閑話休題。

 

フランス語の[b]と[v]の発音の単語例

[b] [v]
il bat(彼は打つ) il va(彼は行く)
un bain(風呂) un vin(ワイン)
oublier(忘れる) ouvrir(開く)
bière(ビール) verre(ガラス)
bée(言葉)  vais(行く)
camembert(カマンベール) vingt(二十)
table(テーブル) livre(本)
célèbre(有名な) anniversaire(誕生日)
possible(可能な) vide(空の)
bistrot(ビストロ) vous(あなた)
baguette(バゲット) neuf heures(九時)
bouteille(ボトル) réservé(予約)

 

 

フランス語の[b]と[v]の綴りの規則

[b] [v]
bbon, célébrer v: vin, saveur
bb:  abbé リエゾン中のf: neuf heures, neuf ans, neuf hommes
wwagon ※

w」はフランス語では元来使われないアルファベであり、外来語のみに使われる。「w」の発音に関しては、『フランス語の[f]と[v]の発音』を参照ください。

 

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