フランス語の[e]と[ɛ]の発音

フランス語の母音[e]と[ɛ]の発音

フランス語の[e]と[ɛ]の発音の違い

フランス語の母音[e]と[ɛ]は日本人が発音しやすい音ではあるが、両者を区別するとなるとぐっと難易度があがるのではなかろうか。

フランス語の[e]は「閉じたエ」、[ɛ]は「開いたエ」とも呼ばれ、どちらも日本語では「エ」と表現されることが多い。

例えば、フランス語のet(英語のandに相当する接続詞)とest(英語のbe動詞に相当する動詞êtreの活用形)は、文脈から混同されることはないかもしれないが、同じ「エ」の発音をしてしまっていないだろうか。正確には、etは[e]の発音、estは[ɛ]の発音となる。

 

et(英語のandに相当する接続詞)
/e/

 

est(動詞êtreの三人称単数現在形)
/ɛ/

 

同様に、pré(牧草地)と près(~の近く)も[e]と[ɛ]の音が違うのみの単語だが、発音の違いがわかるだろうか。

 

pré(牧草地)
/pʀe/

 

près(~の近く)
/pʀɛ/

 

[e]と[ɛ]の発音を正確に聞き取り、言い分けられると、後述のように音に紐づけてスペルを覚えられるといった利点がある。しかし、少し乱暴ではあるが、初学者はひとまず[e]と[ɛ]は日本語の「エ」の発音と理解しておいても問題はないかと思う。

 

 

ただし、フランス人にとっては[e]と[ɛ]は違う音であるため、中級以上を目指すのであればおいおい発音の違いを体得していきたい。

 

フランス語の[e]の発音の仕方

日本語の「エ」より唇を横に引いて発音する、「イ」に近いような音。「閉じたエ」。

 

フランス語の[ɛ]の発音の仕方

口を上下にやや開いて発音する、日本語の「エ」のような音。「開いたエ」。

 

フランス語の[e]と[ɛ]の単語例

[e][ɛ]
et(~と、そして)il est(彼は~だ)
pré(牧草地)près(~の近くに・で)
été(夏)père(父)
musée(美術館)poète(詩人)
activité(アクティビティ、活動)pièce(部屋)
chorégraphie(振り付け、舞踏術)fête(祝祭、パーティー)
tragédie(悲劇)être(~である)
février(二月)mai(五月)
théâtre(劇場)français(フランス語)
comédien(俳優)mtre(主人)
invité(ゲスト、客)Seine(セーヌ川)
découvrir(発見する)neige(雪)
aller(行く)spray(スプレー、噴射)
écouter(聞く)poney(ポニー)
oublier(忘れる)billet(チケット、切符)
admirer(称賛する)poulet(鶏)
nez(鼻)belle(美しい)
pied(足)renne(トナカイ)
clef(鍵)quel(どの~、どんな~、何の~)
les(複数形の定冠詞)festival(お祭り)
Bande Dessinée(漫画、コミック)spectacle(公演、ショー)
J’ai(私は持っている)exposition(展示)
J’irai(私は持つだろう)anniversaire(誕生日)
 Noël(クリスマス)

 

フランス語の[e]と[ɛ]の綴りの規則

[e][ɛ]
éè
erê
ezë
edai
語末のef
(一音節の)esei
e + 子音x2 + 母音ay
接続詞のetey
avoirの一人称過去形のai語末のet
一人称単数未来形の動詞の活用語尾のaie + 子音x2 + 無音のe
 e + 子音(語末)
 e + 子音 + 子音 + 母音
 es
 est

 

フランス語のアルファベ『E』には、英語のアルファベットと同じeのほかに、アクサン・テギュのついたéアクサン・グラーヴのついたèアクサン・スィルコンフレックスのついたê、はたまたトレマのついたëと、何種類もの『E』があり、単語のスペルに頭を悩ませがちだが、実は、[e]と[ɛ]の発音の違いがきちんと耳で理解できていれば、スペルに戸惑うことのない単語も多い。