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フランス語の[f]と[v]の発音
フランス語の[f]と[v]の音を正しく発音できるだろうか。どちらも元来日本語にはない音ではあるが、感覚を掴めばそれほど難しくないかと思う。
例えば、フランス発のお洒落な女子に大人気のコスメのセレクトショップSephoraは、日本語読みをすると「セホラ」ではなく「セフォラ」となる。これは、[f]の発音となるphで綴られているからだ。
[f]は日本語だと、「フィ」の音として表されがちだが、正確には無声の息の音である。
また、フランスの有名なファッションブランドLouis Vuittonは、日本語では「ビトン」ではなく「ヴィトン」と書かれるが、これは、Vuittonのvが[b]ではなく[v]の発音であるためだ。
フランス語のfaux(間違った)とveau(仔牛)は、前者が[f]の発音、後者が[v]の発音であるが、それぞれの音が聞き取れるだろうか。
faux(間違った)
/fo/
veau(仔牛)
/vo/
フランス語の[f]の発音の仕方
上の前歯が舌唇に触れるようにして呼気をもらした無声音。
フランス語の[v]の発音の仕方
上の前歯が舌唇に触れるようにして発音する、日本語の「ヴ」で表される音。
[f]が無声(息の音)なのに対して、[v]は有声の音である。
フランス語の[f]と[v]の単語例
[f] | [v] |
---|---|
fin(終わり) | vin(ワイン) |
fou(気の狂った) | vous(あなた) |
faux(間違った) | veau(仔牛) |
fond(底) | vingt(二十) |
neuf(9つの) | neuf heures(九時) |
facile(簡単な) | livre(本) |
fait(事実) | verre(ガラス) |
France(フランス) | anniversaire(誕生日) |
frontière(国境) | réservé(予約) |
fixer(固定する) | vide(空の) |
faire(~する) | ouvrir(開く) |
coiffeur(美容師) | véhicule(乗り物) |
pharmacie(薬局) | vélo(自転車) |
photo(写真) | wagon(貨物車) |
téléphone(電話) | |
symphonie(交響曲) |
フランス語の[f]と[v]の綴りの規則
[f] | [v] |
---|---|
f | v |
ff | リエゾン中のf |
ph | w ※ |
スペルがfであれば[f]の発音、スペルがvであれば[v]の発音、と綴りと発音が一致しているので覚えるまでもないが、単語末のfがリエゾンして次の単語と一緒に読まれる場合は、[f]ではなく[v]の発音になる。
(例:
neuf heures(9時)
/nœvœʀ/
neuf ans(9歳)
/nœvɑ̃/
neuf hommes(9人の男たち)
/nœvɔm/
※Wについては以下の「フランス語のアルファベWについて」を参照。
フランス語のアルファベWについて
フランス語には元来Wの使われる単語がないことをご存じだろうか。
フランス語学習者であれば一冊は所持しているであろうフランス語の辞書で、一度、Wのページを確認してみてほしい。辞書にもよるが、せいぜい一ページあるかないかといったところだろう。
フランス語でWは、week-end /wikɛnd/(週末)、Web /wɛb/(ウェブ)、Wi-Fi /wifi/(ワイファイ)、といった外来語にのみ使われる。
フランス語のWの発音は、その起源によって[v]の発音か[w]の発音かで分けられているが、上述したようなフランス語の中に入り込んでいる英語由来の単語のWは、英語の発音に倣って[v]ではなく[w]の発音であることに注意が必要だ。