クリスマスに欠かせないフランスのケーキBûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)とは

Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)とは

「Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)」とは、フランスの伝統的なクリスマスケーキで、直訳すると「クリスマスの薪(まき)」を意味するように、木の薪の形を模倣したロールケーキの一種である。日本では、「ブッシュ・ド・ノエル」とも呼ばれる。

Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)の一般的な作り方は、まずスポンジケーキの一種であるジェノワーズケーキ(Génoise)をチョコレート風味で焼く。そしてバタークリームやホイップクリームなどでフィリングしたケーキを木の薪の形状に巻き上げる。チョコレートガナッシュやバタークリームでケーキの外側を覆い、フォークの歯を使って木の樹皮の模様をつけ、クリスマスの飾り付けで飾ってできあがりだ。

Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)は、クリスマスイブやクリスマスの食事の後のデザートとして楽しまれる。

 

Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)の起源

Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)の起源には、いくつかの説が存在する。

一つは、古代ヨーロッパで冬至の頃に行われていた祭り「ユール(Yule)」に由来するというもの。Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)は、英語では「Yule log(ユール・ログ:ユールの丸太)」と呼ばれる。「ユールの丸太」とは、クリスマスシーズンに暖炉で燃やされる特別に選ばれた大きな薪のことであり、Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)はこの薪を象徴して作られるようになったと言われる。

また他の説では、薪がキリスト教のクリスマスの象徴とされるためと言われる。キリスト教では、薪の焚かれる火はキリストの誕生を象徴し、キリストの光が世界にもたらされることを表現するとされている。このため、Bûche de Noël(ビュッシュ・ド・ノエル)が薪の形状を持つことで、クリスマスにキリストの誕生を祝うことに由来すると言われる。

 

料理や行事に関するフランス語単語集

世界三大珍味の一つであるフランス料理の高級食材Foie gras(フォアグラ)とは

Foie gras(フォアグラ)とは

Foie gras(フォア・グラ)とは、直訳すると「脂肪肝」という意味となる通り、ガチョウの肝臓を肥大化させて作られた脂肪を加工したもの。アヒルの肝臓から作られることもあるが、特にガチョウの肝臓から作られたものが有名である。フランス料理の高級食材で、トリュフ、キャビアに並ぶ世界三大珍味の一つ

Foie gras(フォア・グラ)は、ガチョウに対して特別な飼育条件のもと、肝臓を脂肪で肥大化させるプロセスで作られる。このプロセスは「gavage(ガヴァージュ:強制飼養)」として知られ、鳥に大量の餌を与えることで肝臓が肥大化し、豊かな脂肪が蓄積される。肝臓が脂肪で満たされたら、脂肪部を取り出して加工し、塩漬けや調味料で味付けして出来上がる。

Foie gras(フォア・グラ)は、パテやテリーヌとして加工したものトーストに添えたり、ソテーしたりして食べる

高価な食材であるため、クリスマスや特別な機会のご馳走として楽しまれることが多いが、動物福祉の観点から倫理的な問題が浮上することもあり、Foie gras(フォア・グラ)の生産方法については様々な議論が行われている。

 

Foie gras(フォアグラ)の起源

Foie gras(フォア・グラ)の起源は、古代エジプトに始まり、後に中世のフランスで発展した

アヒルやガチョウの肝臓を食材として使用する習慣は、古代エジプトに遡り、そこでは贅沢な美味しい食べ物として摂取されていた。エジプト人は、水鳥、特にアヒルとガチョウが渡り鳥の季節に特に脂肪の多い肝臓を持つことを発見する。そしてこれらの脂肪の多い肝臓は高級な食材とされた。

フランスでFoie gras(フォア・グラ)として知られる料理が現在の形に発展するのは、中世である。フランスの修道院で、脂肪の多い肝臓を生産するためのガチョウの飼育方法とFoie gras(フォア・グラ)としての料理の発展に重要な役割を果たしたと言われる。最初は宗教的な断食期間中に利用され、豊かでカロリーの高い食べ物として考えられていた。

時間の経過とともに、Foie gras(フォア・グラ)はフランスの王室や貴族階級で人気を博し、修道院料理から豪華さと料理の粋を象徴するものに進化する。19世紀になると、Foie gras(フォア・グラ)の生産技術がさらに洗練され、フランス料理の一部として不可欠な存在となった。

 

料理に関するフランス語単語集

家族が集まる日曜日の定番フランス料理Poulet rôti(プレ・ロティ)とは

Poulet rôti(プレ・ロティ)とは

Poulet rôti(プレ・ロティ)とは、英語では「Roasted Chicken(ローストチキン)」と呼ばれ、日本語でいう「鶏の丸焼き」のこと。まるごとの鶏肉をオーブンでじっくりと焼いて調理する伝統的なフランス料理の一つ。フランスの家庭料理から高級レストランまで、さまざまな場所で提供されている。

Poulet rôti(プレ・ロティ)の一般的な調理方法は、丸鶏に塩とこしょうを振りかけ、バターまたはオリーブオイルを塗り、約180〜200°Cのオーブンでじっくり焼く。鶏の内部にハーブやガーリックを詰め込むこともある。焼き上がったら、休ませてからスライスし、季節の野菜やローストポテト、グレービーソース、サラダ等と一緒に提供する。

家庭の日曜日のランチはもちろん、家族や友人との集まり、特別な会食、クリスマスや年末年始などのイベント料理としても幅広く楽しまれている。

 

Poulet rôti(プレ・ロティ)のバリエーション

Poulet rôti(プレ・ロティ)は、オーソドックスなフランス料理の一つであるが、地域やレストランによって様々なバリエーションが存在する。

 

Poulet rôti à la Provençale(プロヴァンス風ローストチキン)

オリーブオイル、トマト、オリーブ、ガーリック、バジルなどの地中海風の調味料で調理された、プロヴァンス地方の料理の影響を受けたローストチキン。

Poulet rôti aux Champignons(キノコ風味のローストチキン)

マッシュルームやキノコソースを鶏に組み合わせて調理し、クリーミーなキノコソースが鶏肉に豊かな風味を加えたローストチキン。

Poulet rôti aux Herbes(ハーブ風味のローストチキン)

鶏に新鮮なハーブ(タイム、ローズマリー、セージなど)を詰めたり、ハーブバターを塗ったりして風味を豊かに調理されたローストチキン。

Poulet rôti au Calvados(カルヴァドス風味のローストチキン)

ノルマンディー地方のカルヴァドス(リンゴのブランデー)を使用したソースで調理された、甘みとリンゴの風味が特徴のローストチキン。

Poulet rôti à la Diable(ディアブル風味のローストチキン)

マスタードやホットソースなどの調味料で味付けされ、ピリッと辛い風味を持つローストチキン。

 

料理・イベントに関する記事

フランスで愛される幸福の飲み物Chocolat chaud(ショコラショー)とは

Chocolat chaud(ショコラ・ショー)とは

Chocolat chaud(ショコラ・ショー)とは、直訳すると「温かいチョコレート」となるように、濃厚なチョコレートを溶かして牛乳と混ぜ、砂糖で甘さを調整したチョコレートの飲み物のこと。香りづけとしてバニラエッセンスやシナモンを加えたり、ホイップクリームやチョコレートチップなどのトッピングがつけられることもある。

フランスの伝統的な飲み物であるChocolat chaud(ショコラ・ショー)は、特に寒い季節に人気があり、マルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)の定番の飲み物である。冬の寒さをしのいで体を温めてくれるだけでなく、チョコレートの濃厚な香りや風味が幸せな気持ちをもたらしてくれるため、子供から大人まで幅広い年齢層に愛されている。

また、ショコラトリー(チョコレート専門店)やカフェでは、高品質のチョコレートを使用した贅沢な味わいのChocolat chaud(ショコラ・ショー)が楽しめる。

 

Chocolat chaud(ショコラ・ショー)の起源

Chocolat chaud(ショコラ・ショー)の起源は、チョコレート自体がアメリカ大陸で発見され、ヨーロッパに紹介された16世紀にさかのぼる。

チョコレートは当初、飲み物として消費されており、17世紀から18世紀にかけてフランスの貴族階級や上流社会でチョコレートを飲むことが流行したとされている。特にルイ14世の代に、宮廷のショコラトリエ(チョコレート職人)が高品質のチョコレートを提供し、宮廷で好まれたという。

この時期に、チョコレートはスパイスやバニラなどで風味づけされ、牛乳と混ぜられて現在の形に近いChocolat chaud(ショコラ・ショー)が作られた。当初、贅沢な飲み物として宮廷で楽しまれていたこのチョコレートドリンクは、19世紀には一般的な飲み物として市民にも広まった。

その後、フランス全土で愛される伝統的なChocolat chaud(ショコラ・ショー)として発展し、今日ではフランス食文化の一部として広く知られている。

 

Chocolat chaud(ショコラ・ショー)にまつわる逸話

18世紀のフランスを代表する哲学者・文豪であるヴォルテール(Voltaire)は、チョコレート愛好家としても知られる。

逸話によれば、ヴォルテールは毎朝、Chocolat chaud(ショコラ・ショー)を飲んで日の出を迎えたという。彼はこのチョコレートドリンクを「幸福の飲み物」と称し、その絶妙な味わいに魅了されていた。彼のチョコレート好きは当時のフランス社会にも影響を与え、チョコレートの人気を高める一因となったとされる。

 

「ショコラショー」と「ホットチョコレート」と「ココア」の違い

ショコラショー(Chocolat chaud)」とは「ホットチョコレート」を意味するフランス語で、一般的には固形チョコレートを牛乳に溶かして作るチョコレートドリンクのことを指す。ただし、一般家庭で朝食に飲まれるものや、サービスエリアの自動販売機で売られているものは、より簡易なココアパウダー(調整ココア)が使用されたものが多い。

ココア(Cocoa)」とは粉末のココアパウダーを牛乳または水に溶かして作る飲み物のこと。ココアパウダーは原料であるカカオ豆からカカオバターを除いた粉末であるため、チョコレートに比べて油脂分が少なく、「ショコラショー」よりも軽く甘さも控えめである。

ホットチョコレート(Hot chocolate)」とは基本的にはチョコレートを使って作られる飲み物を指す。しかし、厳密な定義はなく、「ココア」も「ホットチョコレート」と呼ばれることがあるため、広義には「ホットチョコレート」はチョコレートまたはココアパウダーで作られる飲み物の総称である。

要するに、「ショコラショー」は濃厚で高級なフレンチスタイルのホットチョコレートであり、「ホットチョコレート」はよりカジュアルなバリエーション、「ココア」はさらにシンプルで甘さの少ない飲み物である。

 

飲み物に関するフランス語単語集

実はイタリア発祥?フランスを代表するお菓子Macaron(マカロン)とは

Macaron(マカロン)とは

Macaron(マカロン)とは、フランスの伝統的な菓子で、卵白・砂糖・アーモンドプードルでできた2枚のメレンゲクッキーの間にクリームやジャム、ガナッシュなどのフィリングを挟んだスイーツのこと。見た目がカラフルで美しいため、フランスを代表するおしゃれなデザートやギフトとして人気がある。

Macaron(マカロン)の特徴ともいえるのは、外側は軽くサクサク、内側はふんわりとした食感のメレンゲクッキーだろう。このクッキー生地は、メレンゲ(卵白と砂糖を泡立てたもの)にアーモンドの粉を混ぜて作る。この生地を絞り袋で円形に絞り出し、表面が滑らかになるように整えて焼く。

Macaron(マカロン)には、バニラ、チョコレート、ラズベリー、レモン、ピスタチオなどのさまざまなフレーバーやカラーがある。

2枚のメレンゲクッキーの間には、バタークリーム、ジャム、ガナッシュ、カスタード、フルーツペースト、塩キャラメルなど、さまざまな種類のフィリングが挟まれる。

 

Macaron(マカロン)の名前の由来と起源

フランスの代表的な伝統菓子であるMacaron(マカロン)の起源は、実はフランスではなくイタリアにあるとされる。

「Macaron(マカロン)」という言葉自体は、イタリア語の「maccherone(マッケローネ)」に由来しており、これは元々は小麦粉とアーモンド粉を混ぜた焼き菓子を指す言葉であった。「maccherone(マッケローネ)」と聞いて、何か連想する単語はないだろうか。そう、実はこれは「マカロニ」の語源となった単語でもあり、「パスタ」や「生地」といった意味でも使われていたとされる。

16世紀に、カトリーヌ・ド・メディシス(Catherine de’ Medici)が、イタリアのメディチ家からフランス王室に嫁いだ際に、彼女のお付きのイタリアの菓子職人によって初期のマカロンの形態がフランスにもたらされたと言われる。

そして18世紀から19世紀にかけて、フランスの菓子職人たちによって改良され、アーモンドメレンゲのクッキーでフィリングを挟むMacaron(マカロン)の現在の形態に発展したとされる。

Macaron(マカロン)のルーツはイタリアにあるものの、現代ではフランスを代表するお洒落で洗練された焼き菓子として多くの人々に愛されている。

 

デザートに関するフランス語単語集