世界三大珍味の一つであるフランス料理の高級食材Foie gras(フォアグラ)とは

Foie gras(フォアグラ)とは

Foie gras(フォア・グラ)とは、直訳すると「脂肪肝」という意味となる通り、ガチョウの肝臓を肥大化させて作られた脂肪を加工したもの。アヒルの肝臓から作られることもあるが、特にガチョウの肝臓から作られたものが有名である。フランス料理の高級食材で、トリュフ、キャビアに並ぶ世界三大珍味の一つ

Foie gras(フォア・グラ)は、ガチョウに対して特別な飼育条件のもと、肝臓を脂肪で肥大化させるプロセスで作られる。このプロセスは「gavage(ガヴァージュ:強制飼養)」として知られ、鳥に大量の餌を与えることで肝臓が肥大化し、豊かな脂肪が蓄積される。肝臓が脂肪で満たされたら、脂肪部を取り出して加工し、塩漬けや調味料で味付けして出来上がる。

Foie gras(フォア・グラ)は、パテやテリーヌとして加工したものトーストに添えたり、ソテーしたりして食べる

高価な食材であるため、クリスマスや特別な機会のご馳走として楽しまれることが多いが、動物福祉の観点から倫理的な問題が浮上することもあり、Foie gras(フォア・グラ)の生産方法については様々な議論が行われている。

 

Foie gras(フォアグラ)の起源

Foie gras(フォア・グラ)の起源は、古代エジプトに始まり、後に中世のフランスで発展した

アヒルやガチョウの肝臓を食材として使用する習慣は、古代エジプトに遡り、そこでは贅沢な美味しい食べ物として摂取されていた。エジプト人は、水鳥、特にアヒルとガチョウが渡り鳥の季節に特に脂肪の多い肝臓を持つことを発見する。そしてこれらの脂肪の多い肝臓は高級な食材とされた。

フランスでFoie gras(フォア・グラ)として知られる料理が現在の形に発展するのは、中世である。フランスの修道院で、脂肪の多い肝臓を生産するためのガチョウの飼育方法とFoie gras(フォア・グラ)としての料理の発展に重要な役割を果たしたと言われる。最初は宗教的な断食期間中に利用され、豊かでカロリーの高い食べ物として考えられていた。

時間の経過とともに、Foie gras(フォア・グラ)はフランスの王室や貴族階級で人気を博し、修道院料理から豪華さと料理の粋を象徴するものに進化する。19世紀になると、Foie gras(フォア・グラ)の生産技術がさらに洗練され、フランス料理の一部として不可欠な存在となった。

 

料理に関するフランス語単語集

家族が集まる日曜日の定番フランス料理Poulet rôti(プレ・ロティ)とは

Poulet rôti(プレ・ロティ)とは

Poulet rôti(プレ・ロティ)とは、英語では「Roasted Chicken(ローストチキン)」と呼ばれ、日本語でいう「鶏の丸焼き」のこと。まるごとの鶏肉をオーブンでじっくりと焼いて調理する伝統的なフランス料理の一つ。フランスの家庭料理から高級レストランまで、さまざまな場所で提供されている。

Poulet rôti(プレ・ロティ)の一般的な調理方法は、丸鶏に塩とこしょうを振りかけ、バターまたはオリーブオイルを塗り、約180〜200°Cのオーブンでじっくり焼く。鶏の内部にハーブやガーリックを詰め込むこともある。焼き上がったら、休ませてからスライスし、季節の野菜やローストポテト、グレービーソース、サラダ等と一緒に提供する。

家庭の日曜日のランチはもちろん、家族や友人との集まり、特別な会食、クリスマスや年末年始などのイベント料理としても幅広く楽しまれている。

 

Poulet rôti(プレ・ロティ)のバリエーション

Poulet rôti(プレ・ロティ)は、オーソドックスなフランス料理の一つであるが、地域やレストランによって様々なバリエーションが存在する。

 

Poulet rôti à la Provençale(プロヴァンス風ローストチキン)

オリーブオイル、トマト、オリーブ、ガーリック、バジルなどの地中海風の調味料で調理された、プロヴァンス地方の料理の影響を受けたローストチキン。

Poulet rôti aux Champignons(キノコ風味のローストチキン)

マッシュルームやキノコソースを鶏に組み合わせて調理し、クリーミーなキノコソースが鶏肉に豊かな風味を加えたローストチキン。

Poulet rôti aux Herbes(ハーブ風味のローストチキン)

鶏に新鮮なハーブ(タイム、ローズマリー、セージなど)を詰めたり、ハーブバターを塗ったりして風味を豊かに調理されたローストチキン。

Poulet rôti au Calvados(カルヴァドス風味のローストチキン)

ノルマンディー地方のカルヴァドス(リンゴのブランデー)を使用したソースで調理された、甘みとリンゴの風味が特徴のローストチキン。

Poulet rôti à la Diable(ディアブル風味のローストチキン)

マスタードやホットソースなどの調味料で味付けされ、ピリッと辛い風味を持つローストチキン。

 

料理・イベントに関する記事

これぞ王道フレンチ!古典的な魚料理Sole meunière(ソール・ムニエル)とは

Sole meunière(ソール・ムニエール)とは

「Sole meunière(ソール・ムニエール)」とは、フランスの伝統的な魚料理で、三枚おろしにした舌平目(シタビラメ)に小麦粉をまぶしてバターで焼いたもの。日本語では、「舌平目のムニエル」と呼ばれる。

フランス語の「Sole」は「舌平目(シタビラメ)」のこと、「meunière(ムニエール)」は「粉挽き屋風」または「製粉業者風」を意味し、小麦粉をまぶして調理するスタイルを指す。

一般的なSole meunière(ソール・ムニエール)の調理方法は、まず、新鮮な舌平目のフィレに塩とこしょうを振り、薄く小麦粉をまぶす。そしてバターで両面を軽く焼き、別のフライパンでバターとレモン汁、刻んだパセリを加えたソースを作り、ソースをかけてできあがりだ。

この料理はシンプルながらも、バターの豊かな香りとレモンの酸味が舌平目の繊細な風味を引き立てる絶品である。古典的なフランス料理として、高級レストランから家庭料理までさまざまな場所で楽しまれている。

 

Sole meunière(ソール・ムニエール)にまつわる逸話

今でいう料理研究家として、1960年代にアメリカの一般家庭に初めてフランス料理を紹介したことで知られるJulia Child(ジュリア・チャイルド)。彼女がフランス料理に傾倒するきっかけとなったのが、フランス滞在中に初めて食べたSole meunière(ソール・ムニエール)だったと言われる。

アメリカ人料理研究家のジュリア・チャイルドの半生と、一年かけて彼女の全料理に挑戦しようとする若きブロガーの姿を描いた映画『ジュリー&ジュリア』の作中でも、冒頭で、ジュリア・チャイルドがSole meunière(ソール・ムニエール)を食べて感激する様子が描かれている。

 

料理に関するフランス語単語集

牛肉をパイで包んだフランス料理Bœuf en croûte(ブフ・アン・クルート)とは

Bœuf en croûte(ブフ・アン・クルート)とは

「Bœuf en croûte(ブフ・アン・クルート)」とは、フランス料理の一種で、英語では「Beef Wellington(ビーフ・ウェリントン)」としても知られる。Bœuf en croûte(ブフ・アン・クルート)は直訳すると「牛肉をパイで包んだもの」となるように、これは、パイ生地で包み込んだ牛肉をオーブンで焼いた料理である。

一般的には、牛肉はフィレ肉(テンダーロイン)が使用される。フィレ肉に香味野菜を巻きつけてパイ生地で包み込む。そしてオーブンで焼き、パイ生地表面がサクサクに、中の肉がジューシーになるよう調理する。

この料理は、フランスの伝統的なガストロノミー(美食術)に由来し、特別な機会やお祝いの際に提供されることが多い。豪華な見た目と美味しい味わいが特徴であり、料理の中に肉の風味と香りが詰まっていることから、多くの人に愛される一品である。

 

Bœuf en croûte(ブフ・アン・クルート)とBeef Wellington(ビーフ・ウェリントン)の違い

Bœuf en croûte(ブフ・アン・クルート)は、フランス料理の一つとして知られており、フランスのガストロノミーに由来する。一方で、Beef Wellington(ビーフ・ウェリントン)は、伝統的なイギリス料理の一つである。

フィリングにも違いが見られ、Beef Wellington(ビーフ・ウェリントン)は、フォアグラなどのパテのほかに、「デュクセル(Duxelle)」と呼ばれるキノコ・玉ねぎ・パセリ等をバターで炒めたものでフィレ肉を覆う。フィレ肉をデュクセルで覆ってパイ生地で巻かれたものは、フランスでは「Bœuf Wellington(ブフ・ウェリントン)」とも呼ばれる。

 

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