フランス料理といえば!定番のQuiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)とは

Quiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)とは

「Quiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)」とは、フランス料理の一つで、パイ生地を敷いた型に卵液(卵・生クリーム・牛乳)、ベーコン、玉ねぎを流し込んでオーブンで焼いたもの。一般的には付け合わせとしてサラダが添えられる。

Quiche(キッシュ)自体はフランス全土で広く知られる料理であり、ロレーヌ地方以外でも地域ごとに異なる具材やスタイルで作られている。その中でも、Quiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)は最もオーソドックスで、Quiche(キッシュ)の代名詞のようにも扱われる。

また、フランスではキッシュは、レストランやカフェのみではなく、パン屋や惣菜屋でも気軽に購入できる。

 

Quiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)の起源

Quiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)の起源は、その名前の通り、フランスのロレーヌ地方(Lorraine)にある。この料理の歴史は古く、中世から存在していたと言われている。しかし、具体的な起源については複数の説が存在する。また、ロレーヌ地方はフランス東部のドイツ国境近くに位置し、ドイツ文化の影響を色濃く受けている

一説によれば、Quiche(キッシュ)はもともとドイツのKuchen(クーヘン)という料理が元となっていると言われる。「Kuchen(クーヘン)」とは、ドイツ語で「ケーキ」を意味するが、地域によってはパイやタルトなどのペイストリーを指すこともある。

別の説では、Quiche Lorraine(キッシュ・ロレーヌ)は16世紀から17世紀にかけて、地元の鉱山労働者のために作られたエネルギー豊富な食事として始まったとされている。当時はチーズが含まれていなかったとされており、後にチーズを加えるバリエーションも登場した。

その後、キッシュ・ロレーヌはフランス全土に広まり、特に20世紀にはアメリカでも人気を博し、国際的な知名度を得る料理となった。

 

料理に関するフランス語単語集

これぞ王道フレンチ!古典的な魚料理Sole meunière(ソール・ムニエル)とは

Sole meunière(ソール・ムニエール)とは

「Sole meunière(ソール・ムニエール)」とは、フランスの伝統的な魚料理で、三枚おろしにした舌平目(シタビラメ)に小麦粉をまぶしてバターで焼いたもの。日本語では、「舌平目のムニエル」と呼ばれる。

フランス語の「Sole」は「舌平目(シタビラメ)」のこと、「meunière(ムニエール)」は「粉挽き屋風」または「製粉業者風」を意味し、小麦粉をまぶして調理するスタイルを指す。

一般的なSole meunière(ソール・ムニエール)の調理方法は、まず、新鮮な舌平目のフィレに塩とこしょうを振り、薄く小麦粉をまぶす。そしてバターで両面を軽く焼き、別のフライパンでバターとレモン汁、刻んだパセリを加えたソースを作り、ソースをかけてできあがりだ。

この料理はシンプルながらも、バターの豊かな香りとレモンの酸味が舌平目の繊細な風味を引き立てる絶品である。古典的なフランス料理として、高級レストランから家庭料理までさまざまな場所で楽しまれている。

 

Sole meunière(ソール・ムニエール)にまつわる逸話

今でいう料理研究家として、1960年代にアメリカの一般家庭に初めてフランス料理を紹介したことで知られるJulia Child(ジュリア・チャイルド)。彼女がフランス料理に傾倒するきっかけとなったのが、フランス滞在中に初めて食べたSole meunière(ソール・ムニエール)だったと言われる。

アメリカ人料理研究家のジュリア・チャイルドの半生と、一年かけて彼女の全料理に挑戦しようとする若きブロガーの姿を描いた映画『ジュリー&ジュリア』の作中でも、冒頭で、ジュリア・チャイルドがSole meunière(ソール・ムニエール)を食べて感激する様子が描かれている。

 

料理に関するフランス語単語集

フランス版もちもちチーズパン!?甘くないシューGougère(グジェール)とは

Gougère(グジェール)とは

「Gougère(グジェール)」とは、ブルゴーニュ地方発祥とされるフランス料理の一種であり、チーズ入りの膨らんだパフペストリー(シュー皮)のこと。主にアペタイザー(前菜)やアペリティフ(食前酒)として提供される。

Gougère(グジェール)の作り方は、まず、水とバターを煮たところに小麦粉と卵を加えて滑らかなシュー生地を作るその後、刻んだチーズを混ぜ込み、生地を絞り袋で円形に絞ってオーブンで20〜30分焼くと完成である。チーズはエメンタールチーズやコンテチーズ、グリュイエールチーズなどが用いられる。

バリエーションとしてハーブやスパイス、他の具材を加えてアレンジされることもある。

似た料理として、日本では「チーズパン」や「チーズボール」とも言われるブラジル発祥の「pão de queijo(ポン・デ・ケイジョ)」がある。Gougère(グジェール)との大きな違いは、pão de queijo(ポン・デ・ケイジョ)はもちもちとしたパン生地であるのに対し、Gougère(グジェール)は軽やかでふんわりとしたシュー生地であるというところだ。

 

Gougère(グジェール)にまつわる逸話

Gougère(グジェール)発祥の地であると主張しているフランスのブルゴーニュ地方のFlogny-la-Chapelle(フロニー=ラ=シャペル) では、毎年5月に「La Fête de la Gougère(グジェール・フェスティバル)」が開催される。これは、地元の料理や文化を楽しむ、Gougèreが主役となるお祭りである。

この祭りでは、地元のレストランや料理人たちが腕を振るい、さまざまな種類のGougère(グジェール)が提供される。チーズや具材、風味を工夫した多種多様なバリエーションのGougère(グジェール)が楽しめるほか、ブルゴーニュ地方の特産品やワインも楽しむことができる。

[参考] 28ème Fête de la Gougère(フランス語)

 

料理に関するフランス語単語集

失敗から生まれたひっくり返ったフランス菓子Tarte Tatin(タルトタタン)とは

Tarte Tatin(タルト・タタン)とは

「Tarte Tatin(タルト・タタン)」は、フランスの伝統的なデザートの一つで、キャラメリゼされたリンゴをタルト生地の下に敷き詰めてオーブンで焼き、逆さまにひっくり返して提供されるタルトのこと。

この料理は、フランスのタタン姉妹によって発明されたため、姉妹の名前「Tatin(タタン)」が料理名につけられたとされる。

Tarte Tatin(タルト・タタン)は通常、バターと砂糖で炒めたリンゴの上に生地を被せて焼き上げる。焼く際には、リンゴがキャラメルとバターでさらにじっくりと煮詰められて、柔らかく、甘く、風味豊かなものになる。焼き上がったタルトは、逆さにひっくり返して供されるのが特徴で、リンゴが上にくる。これにより、キャラメルでコーティングされたリンゴが美しい焦げ目を持ち、甘さと風味が生地と絶妙に組み合わさったタルトとなる。

また、リンゴ以外のフルーツや野菜を使ったバリエーションも存在し、多くのレストランや家庭で楽しまれている。

 

Tarte Tatin(タルトタタン)にまつわる逸話

この料理は、19世紀末にフランスの田舎町Lamotte-Beuvron(ラモット=ブーヴロン)で、ある姉妹、Stéphanie Tatin(ステファニー・タタン)とCaroline Tatin(キャロリン・タタン)によって生み出されたと言われる。

彼女たちが経営するホテル・レストランでリンゴのタルトを作る際に、リンゴを焦がしてしまった。焦げたリンゴを何とかできないかと、リンゴの上に生地を被せて逆さまに焼いてみた。焼き上がった後にタルトをひっくり返してみると、キャラメル化したリンゴが美味しいデザートになっていた。

この偶然の結果が「Tarte Tatin(タルト・タタン)」の誕生とされる。

 

デザートに関するフランス語単語集

ピザのような炎のタルト!?アルザス名物Flammekueche(フラムキッシュ)とは

Flammekueche(フラムキッシュ)とは

「Flammekueche(フラムキッシュ)」とは、フランスのアルザス地方発祥の伝統的な料理で、非常に薄い生地にフレッシュクリームを塗り、ベーコンや玉ねぎをのせてオーブンで焼いたピザによく似た料理

トッピングには、ベーコンや玉ねぎ以外にも、マッシュルームやチーズ、ハム、鶏肉などが使用されることもある。基本的にはシンプルな組み合わせが特徴の料理だが、地域や個々のレストランによって微妙な違いが見られる。

一見するとピザのようにも見えるが、非常に薄い生地で作られているためサクサク感が強く、ピザ生地は少し重いと感じるような年配の方でも楽しめるのではないかと思う。

 

Flammekueche(フラムキッシュ)の名前の由来

現在では観光名物としても知られるFlammekueche(フラムキッシュ)は、アルザス地方の農村部で生まれた料理で、かつては家庭で作られることが多かった。

ジブリ映画の『ハウルの動く城』や ディズニー映画『美女と野獣』の舞台ともなったアルザス地方は、フランスとドイツの国境地帯に位置しており、歴史的に両国の文化や料理の影響を受けてきた。

Flammekueche(フラムキッシュ)は元々、オーブンが普及する前に、農家の家庭の大きな焚き火(flammes)を使って調理していた。そのため、フランス語で「炎」を意味する「Flamme(フラム)」と、アルザス地方の方言であるアルザシアン語で「タルト」や「ケーキ」を意味する「Kueche(クーシュ)」が合わさって、直訳すると「炎のタルト」となる「Flammekueche(フラムキッシュ)」という名前がついたとされる。

Flammekueche(フラムキッシュ)はフランス語では「Tarte Flambée(タルト・フランベ)」としても知られ、日本では「フラムキッシュ」のほかに「フラムクーシュ」や「フラムクッシュ」とも呼ばれる。

 

料理に関するフランス語単語集